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クロスフィルターでイルミネーションを輝かせてみよう [スタッフRの「撮影に行こう」]

こんにちは、スタッフRです。
みなさん、どんな夜景の写真が好みでしょうか。
「夜景」と聞いて、「イルミネーションや街灯りがキラキラと輝いている」風景をイメージする方が多いかと思います。
「光源の輝き」を、写真で再現したい場合、いくつかの方法があります。

  1. キラキラとした、光の輝きを作りたい場合(イルミネーションなどを、より印象的に表現)
    • レンズを絞り、絞り形状による光条*1 を作る
    • クロスフィルターを使い、光条を作る
    以前の記事でも軽く触れましたが、レンズの絞りは、何枚かの羽根が重なって構成されています。 お手持ちのレンズを絞った状態で見ていただければわかると思いますが、一般的に開放では円形を、ある程度絞ると角ばった形状となります。 絞った状態で点光源を撮影すると、絞りの辺の部分で回折した光が筋となって現れます。 一方、これと似たような効果を持つフィルターを「クロスフィルター」といいます。フィルターの表面に溝が加工されていて、溝に光が当たると回折(または屈折)が生じて、光条が現れます。 クロスフィルターは「レンズの絞りを開放付近」で使います。 (Kenkoの「R-クロススクリーンフィルター」のページより、広角レンズでF5.6以上に絞ると光条が途切れるとのことです) 絞りの形状・本数について、絞りから光条を作る場合は絞り羽根の枚数と絞り込んだ時の形状から、クロスフィルターを使う場合はフィルターに応じて決まります。 (光条の角度を一文字から十文字まで変えることのできる「バリクロスフィルター」もあります)
  2. ぼんやりとした、柔らかい光を作りたい場合(暖かく、ロマンティックな雰囲気を表現)
    • レンズの絞りを開放付近に合わせ、ピントを光源から外してぼかす
    • ソフトレンズやソフトフィルターを使い、ピントをにじませてソフトにする
    こちらの方法は、光源をシャープに写すのではなく、ぼんやりと写す方法です。 絞りを開放にして光源をぼかす場合、たとえば以前「今日の一枚」に投稿したこちらの写真のようになります。 イルミネーション以外に被写体があるような場合、前景や背景をぼかして被写体に視線を誘導させることができます。 また、ソフトレンズ・ソフトフィルターをイルミネーションの撮影に使うと、光源や被写体の周辺をにじませ、ぼんやりとさせることで柔らかい印象となります。 ソフトフィルターを使う場合、レンズの絞りに関係なくソフト効果を得ることができます。 ソフトフィルターによるソフト効果は、レンズの焦点距離で効果が変わり、焦点距離が長いほど、よりソフトに写ります。


だいたい、こんな感じです。

今回は、しっかりとした光条を出して「キラキラ」としたイルミネーションを撮ろうと思いましたが、三脚を持って行きませんでした。
絞った撮影ではシャッタースピードがかなり遅くなってしまいますので、開放付近の絞りで光条を作ることのできるクロスフィルターを使ってみました。
その時の気分や目的にもよりますが、ちょっと三脚を持っていくのが大変な時など、フィルターをカバンに1枚忍ばせるくらいならそれほど難しくないと思います。

使用したクロスフィルターは、フィルターでおなじみKenkoのソフトクロスフィルターです。
150130-00-softcross.jpg
このフィルターは少し特殊で、光条を作るクロス効果と、被写体をぼんやりとさせるソフト効果とを同時に表現することができます。
ただし、見た目で分かる通り少し暗いフィルターで、露出倍数*2 が約1.6倍となっています。
とはいえ、最近のカメラでは高感度撮影が可能で、また後述のように絞りはほぼ開放となるため、この程度であれば影響はないと思います。
以前の記事でご紹介したPLフィルターと同様に、フィルターの枠が2重になっていて、前側の枠が回転します。
クロスフィルターは、前述のとおり光条を作ることができますが、フィルターの枠を回転させることで光条の「回転角」をくるくると回すことができます。
このフィルターでは4本線の光条を作ることができます。

ソフトクロスフィルターは、光源のキラキラとした印象を強めつつも、幻想的な雰囲気を作ることのできるフィルターです。

このようなフィルター効果は、実はカメラ、ソフトウェアでも同じような効果のものがあります。
ペンタックスのカメラには「デジタルフィルター」という機能が付いていて、この機能により同様の光条を作ることができます。
また、画像編集ソフトにも、クロス効果を作るものがあります。
もちろん、こういった機能を使用して光条を作っても構いません。
ただし、カメラの機能を使ってクロス効果を適用する場合、RAW形式で保存する場合には同時記録のJPEG画像にのみクロス効果が適用され、RAWデータに直接反映させることができません。
また、レタッチソフトを使用する場合、もしくはRAWデータにレタッチソフトを併用する場合、あくまで「レタッチ」であるので、撮影後の操作となります。
「一眼レフ」カメラの場合には、フィルターを取り付けることで光学ファインダーを覗いていても効果が確認でき、最終的なイメージが掴みやすいと思います。
ファインダー越しにイルミネーションを見ながら、くるくるとクロスフィルターを回すだけでも楽しいですよ(笑

さて、今回は近場の「イオンモール幕張新都心」へ行ってきました。
「手軽に撮影する」ことを目的にしたため、すべて手持ちで撮影しています。
カメラは「PENTAX K-3」、レンズは「smc PENTAX-DA 21mm F3.2 AL Limited」、そして現像には「SILKYPIX Developer Studio Pro 6」を使用しています。
加えて、前述した「Kenko ソフトクロスフィルター」です。
レンズについては、こちらの記事をご覧ください。

まずは、イオンモールとわかるような一枚。
150130-01-aeonmall.jpg
2月いっぱいまで、体験型イルミネーション「光の迷路」を開催しています。
光る鍵盤を踏むと音が鳴ったり、また30分間隔でイルミネーションショーが行われていたりします。
ソフトクロスフィルターの特徴である、ソフト効果と光条が同時に得られているのがわかるかと思います。
150130-02-aeonmall.jpg
「光条の長さ」は「光源の強さ」であるため、イルミネーションを遠景で撮るとあまり効果が表れません。
この写真の場合、周りの照明の光源に光条がはっきり出ているのはそのためです。
150130-03-aeonmall.jpg
完全な点光源でなくても、強ければ光条は発生します。
この写真では、手前のイルミネーションと奥のイルミネーションは同じくらいの明るさですが、相対的に距離の近いほうが強くなります。
このため、ボカした上で光条を作ることもできます。
150130-04-aeonmall.jpg
一方、こちらの写真のように、条件が合えば「ぼけ」と「光条」を共存させることができます。
背景の光源の強さがそれほど強くないので、手前にピントを合わせたところ、このようになりました。
ただし、このフィルターを通してぼかすと、ぼけの内側が若干ざらついた感じになります。
(光源の強さに依存するはずなので、逆に前景をきれいな「ぼけ」にすることも可能なはずですが、距離の影響も考えないといけません)
150130-05-aeonmall.jpg
それほど強くないイルミネーションの場合、近くまで寄ることで「キラキラ」と写すことができるはずです。
ちなみに、先ほどとこちらのカットはイオンモールの常設のイルミネーションです。
この時期、色々な場所で試すことのできる被写体だと思いますので、ちょっと仕事帰りに寄ってみるのもいいかもしれません。

今回は、クロスフィルターの紹介をしようと思いましたが、微妙に珍しいフィルターを持ち出してしまいました。
クロスフィルターには、他にも光条の本数などで何種類かあるので、色々と試してみると面白いです。
静止画だけでなく、動画にも使えますので、たまには付けてみてはいかがでしょうか。
ただし、あまりにクロス効果を掛け過ぎたりすると、派手になりすぎて現実感が失われることがあります。
(この辺りは、撮影者の好みの問題が強いと思いますが…)
基本的には楽しんで撮影できれば十分ですし、撮影した写真が思い出話に花を添えれば素敵ですよね。
「こんな写真も撮れるんだ」と感じていただければと思います。

*1 光条(光芒)とは、光源に生じる光の筋のことです。記事に戻る

*2 露出倍数とは、どれくらい暗くなるかを表したもので、その分だけ絞りを開けたり、シャッタースピードを遅くして光を取り込む必要があります。記事に戻る
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