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Auto110をポケットに入れて [スタッフRの「撮影に行こう」]

あけましておめでとうございます、スタッフRです。
みなさん、フィルムカメラ*1はお使いでしょうか?
デジカメの便利さや、フィルムの手間やコストを考えると、なかなか手を出しにくいかもしれませんね。
先日公開した記事「ネガフィルムをデジタル化してみませんか?」を参考にすると、ネガフィルム*2のデジタル化も比較的簡単にできると思います。
興味のある方は、ぜひフィルムカメラも試していただきたいです。

さて、今回はこんなカメラを使ってきました。

160101-11-auto110.jpg

ペンタックスの「Auto110」という、110(ワンテンと読みます)フィルムを使用するカメラです。
110フィルムとは、ポケットフィルムとも呼ばれる、13mmx17mmの小型のフィルム。
よく用いられる35mm判フィルムよりも小さいことから画質の面で不利であり、110カメラの多くはトイカメラと呼ばれる単純なカメラでした。
ペンタックスの「Auto110」は、そんな中で一眼レフ*3として作られた唯一のカメラです。

160101-12-auto110-q.jpg

小型のミラーレス一眼カメラ*4である「PENTAX Q」と比べてもこんな感じ。
(念のため、右上がPENTAX Qです)
この大きさでガラス製のペンタプリズム*5を搭載し、交換レンズも広角*6から望遠*7、そしてズームレンズ*8とひと通り存在します。
こちらは初代「Auto110」ですが、セルフタイマーや逆光補正などを搭載した後継機「Auto110 Super」も発売されました。

160101-13-110-24mm.jpg

レンズには「PENTAX-110 24mm F2.8」を使用しました。
一緒に写っているレンズキャップはPENTAX Qの40.5mm径キャップです。
110フィルムはサイズが小さいことから、35mm判フィルム換算焦点距離*9は2倍の48mm相当の標準レンズ*10となります。
と、実はこのフィルムサイズ、偶然にもフォーサーズ*11規格とほぼ同じです。
「Auto110」は交換レンズには絞り*12がなく、カメラ側に絞りがある構造です。

フィルムは、A-Powerの「110 Fukkatsu ISO400カラー」を使用しました。
110フィルムは、2009年に富士フイルムの製品が生産終了しましたが、その後紆余曲折を経て現在でも入手可能なものがあります。
とはいえ、使用した「110 Fukkatsu ISO400カラー」と「110 Fukkatsu ISO100モノクロ」は、既に流通在庫分がほぼ無くなっているようで、残るはLomographyの「Lomography Orca 110 B&W Film」と「Lomography Tiger 110 Color Film」くらいのようです。
これらも、いつ無くなるかわからないので、試してみたい方はお早めに。

以下、写真は「PENTAX K-3II」でネガフィルムを撮影し、「SILKYPIX Developer Studio Pro 7」にて現像しています。
といっても、取り込みまでに時間を要したので、写真自体は去年の春の撮影です。
こんな感じに少し前の写真が出てくるのも、フィルムっぽいかもしれませんね。

160101-01-sakura.jpg

季節外れですが、桜の写真。
微妙にピントがずれていたようです。
ISO感度*13がISO400かつフィルムサイズも小さいため、結構な粒状感*14です。

160101-02-sakura.jpg

最近のデジカメに慣れていると、「ピントはどこ?」と言いたくなるかもしれません。
全体的にフレア*15がかったような感じは、フィルムの影響もありそうです。
(単に露光不足*16かもしれませんが、なかなか色が出てくれません…)

160101-03-ahina.jpg

春に、休止線の西武安比奈線を見に行った時の写真です。
(公道上から撮影しています。線路敷地内や私有地には入らないようにしましょう)
こういう風景は、ソフトっぽい写りの方が合っているように感じます。
いっそモノクロやセピアにしてしまっても構わないですが、せっかくのカラーフィルムなのでそのままです。

160101-04-ahina.jpg

上と同じく、安比奈線。
木漏れ日の眩しさ、感じられるでしょうか。

160101-05-kawagoe.jpg

川越で見かけた、フクロウの彫刻。
やわらかい印象を表現するなら、フィルムを使ってみるのもいいと思います。

さて、今回は「Auto110」で撮影した写真をご紹介しました。
デジカメに慣れている方にとって、フィルムのノイズ感や粒状感、滲んだ感じというのはマイナスに見えるかもしれません。
特にフィルムサイズの小さな110フィルムでは、くっきりと写すのは難しいですが、ゆるい感じの独特な表現を楽しむことができると思います。
現像して一本の「フィルム」として出来上がった時の感動は、デジカメを使っているとなかなか得られないものですね。

それでは、今年も「写真がRAWだから。」をよろしくお願いします!



*1 フィルムカメラとは、被写体像をフィルム(写真フィルム)に露光するカメラです。フィルムの感光剤に銀化合物(銀塩)を用いることから銀塩カメラともいいます。
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*2 ネガフィルムとは写真フィルムの一つであり、明暗や色が反転した状態で記録されるフィルムのことです。写真フィルムとしては最も身近で、印画紙へのプリント時に補正がしやすいという特徴があります。
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*3 一眼レフカメラとは、撮像面とレンズの間に鏡を置く構造のカメラのことです。実際の撮影イメージを光学ファインダーで確認することができ、視差も生じないという利点を持ちますが、その分内部機構が大きくなるという欠点もあります。
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*4 一眼レフカメラの光学ファインダーの代わりに、液晶モニターや電子ビューファインダーを見ながら撮影するレンズ交換式のデジタルカメラのことです。一眼レフカメラから鏡を廃した構成であるため、内部機構が簡略化でき、小型軽量なものが多いです。
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*5 ペンタプリズムとは、一眼レフカメラのファインダーに用いられる5角柱のプリズムのことです。レンズから入射される像は倒立逆像ですが、ファインダーで正立正像を得るため、1面をダハ面(分割面)として左右反転させる8面体のペンタゴナルダハプリズムが一般的に用いられます。
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*6 広角とは、画角(写る範囲)が広いことをいいます。35mm判換算で50mm付近の焦点距離を標準といい、これよりも短い焦点距離を広角といいます。
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*7 望遠とは、画角(写る範囲)が狭いことをいいます。35mm判換算で50mm付近の焦点距離を標準といい、これよりも長い焦点距離を望遠といいます。
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*8 ズームレンズとは、ズームによって焦点距離を変えることのできるレンズです。被写体までの距離(撮影距離)を変えずに、被写体の写る大きさを調整することができます。
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*9 レンズにより写すことのできる範囲(画角)は、レンズの焦点距離と撮像素子の大きさから決定することができます。35mmフィルム換算焦点距離とは、フィルムのフォーマットで最も多く用いられた35mmフィルムでの画角を基準とした焦点距離の数値のことです。
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*10 35mm判換算で50mm付近の焦点距離のレンズを標準レンズといいます。標準レンズの定義はいくつかありますが、撮影方法を工夫することで広角レンズのような表現や望遠レンズのような表現が可能な万能レンズといえます。
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*11 小型のフォーサーズサイズ(おおよそ 17.3×13.0 mm)のセンサです。
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*12 絞りとは、レンズから入る光の量を調整する機構のことです。
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*13 ISO感度とは、どの程度弱い光まで記録できるかを表します。感度を高くすると、同じ明るさでも速いシャッタースピードで撮影することができますが、その分ノイズが多くなります。
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*14 写真フィルムは、銀化合物(銀塩)の粒子がランダムに並んで構成されているため、ある程度ざらざらとした粒状感を持っています。基本的に感度が高くなるほど粒子径が大きく、ざらついた写真となります。
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*15 フレア(レンズフレア)とは、明るい光源がレンズに入った時に生じる、暗部への光の漏れのことです。コントラストが低下し、画像のシャープさが失われる原因となります。
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*16 露光不足とは、露光(露出)が足りずに露光(露出)アンダーとなることです。
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