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テッサーと一緒に西千葉・稲毛をお散歩 [スタッフRの「撮影に行こう」]

こんにちは、スタッフRです。
カメラ・レンズ寄りの記事を書いていたら、同僚に「物欲がうつる」と言われてしまいました(苦笑
今週も、懲りずに手持ちのレンズの紹介と作例を載せていきたいと思います。

さて、カメラ好きなら、レンズメーカーの名前や、あるいはレンズの名前が思い浮かぶ方も多いと思います。
では、M42マウントのオールドレンズ*1 といえば、みなさんは何が思い浮かぶでしょうか?
国内に限定するとすれば、多くの方が旭光学工業(現リコーイメージング)の「タクマー*2 を思い浮かべると思います。
一方、国外に目を向けると、やはり、ドイツの「カール・ツァイス」を思い浮かべるのではないでしょうか。

今回の機材は、「カール・ツァイス」の「Carl Zeiss Jena Tessar 40mm F4.5」です。
150417-10-tessar40.jpg
「Carl Zeiss Jena」と付いているように、東ドイツのイェーナで製造されたレンズです。
カール・ツァイスは、戦前にイェーナで設立され、ドイツの東西分裂から統一まで、激動の時代を生き抜いています。
シリアルナンバーが連番で付けられているため、製造年の特定がある程度可能で、このレンズは1950年代に製造されたものです。
タクマーもそうですが、60年ほど昔のレンズがこうして普通に使えるだけでも、凄いことだと思います。

名称の「Tessar」とは、レンズの構成から付けられています。
テッサーは3群4枚*3 で、前側から凸凹凹凸のレンズ構成をしています(後群は貼り合わせ)。
4枚のレンズを使用するため、ギリシャ語の4(Tessares)が由来とのこと。
ピント面のシャープさから「鷹の目」と呼ばれ、よく写るレンズとして有名です。
レンズ枚数が4枚と少ないにも関わらず、収差が補正されていて、よく写るため、多くのメーカーから類似のレンズが作られました。
こちらの記事で、スタッフIさんがテッサータイプの「LZOS Industar-61 L/Z 50mm F2.8」を使用しています。

本家のテッサーというと、よく知られているのは50mm F2.8のものですが、今回のテッサーは40mmと若干広角寄りのもの。
どうせなら少し珍しいテッサーが使いたいと思い、購入しました。
(買ったら買ったで、50mm F2.8のテッサーも使いたくなっているので、困ったものです)
本家のM42マウントのテッサーとしては最広角のレンズですが、F4.5と最近のキットのズームレンズよりも暗い開放F値*4 のレンズです。
銀色のアルミ削り出し鏡筒の奥に、小さなレンズ群が鎮座しています。
絞りは手動絞りで、クリック等はありません。
150417-11-tessar40.jpg
今回は「PENTAX K-3」に「マウントアダプターK」を取り付けて、西千葉~稲毛のお散歩記録です。

では、作例に移りましょう。
RAW現像には、「SILKYPIX Developer Studio Pro 6」を使用しています。
150417-01-chiba.jpg
まずは、絞り開放で河津桜。
逆光での撮影のため、かなり淡い描写になりました。
現在のカール・ツァイスのレンズには、「T*マルチコーティング」と呼ばれるマルチコーティングが施され、レンズ銘に赤く「T*」と刻印されています。
これより前は「Tコーティング」と呼ばれるモノコーティングが施され、戦前はレンズ銘に赤く「T」と刻印されていました。
このレンズは戦後の生産のため刻印はされていませんが、おそらくTコーティング相当のもの。

写真は、ぼんやりとした柔らかい描写ではありますが、しっかりと芯があります。
古いレンズのため、本来の性能が発揮できていない可能性がありますが、このレンズは玉数が少ないようで、あまり作例を見かけません。
150417-02-chiba.jpg
大きな樹を見上げて。メタセコイアでしょうか。
写真はF5.6付近ですが、カラーバランスがいまひとつのようなので、モノクロに。
オールドレンズならではの悩みです。

150417-03-chiba.jpg
西千葉稲荷を参拝し、一枚。
やはりカラーバランスが転がっているような印象を受けるので、RAW現像時に補正しています。
この時代のCarl Zeiss Jenaレンズにはよくあることだそうですが、コーティングの劣化等あるかもしれません。
150417-04-inage.jpg
場所と日を変えて、稲毛海浜公園の夕景。
逆光なのでコントラストが落ちるかと思いましたが、多少落ちた程度でいい感じにノスタルジックです。
レンズの口径が小さいこともあり、不自然なフレアやゴーストは現れていません。
水面にフリンジが生じることもなく、きれいなボケです。
150417-05-inage.jpg
夕日を浴びて、黄金色に輝く砂浜を。
今回のお気に入りの一枚です。
イメージサークルの中心部分しか見ていないため、周辺がどうなっているかはぜひ見てみたいところ。
150417-06-inage.jpg
ヘリコイドの感触が楽しく、気付いたら近景ばかりを撮っていました。
木漏れ日などは、確かにボケがうるさく感じられるかもしれません。
ピント面がシャープで解像感が高いですが、ふんわりとした描写がこのレンズの持ち味でしょうか。
150417-07-inage.jpg
稲毛民間航空記念館」に許可を受け、撮影しました。
鳳号のレプリカで、実験機として実際にエンジンを搭載してジャンプ飛行を行ったそうです。
ここ稲毛海岸は、以前は広大な干潟が広がっていて、日本で初めて民間飛行場が開設された場所です。
ちなみに、「民間航空発祥の地」の記念碑が、こちらの記事でも紹介した「稲岸公園」にあります。
150417-08-inage.jpg
日が沈んでから、河津桜。
開放F値の大きいレンズですが、デジタル一眼なら感度を上げることであまり気にせず撮影できますね。

今回は、オールドレンズとしてとても有名な「テッサー」の紹介でした。
テッサータイプはレンズ枚数が少なく作りやすい構成のレンズのため、現在のコンパクトカメラやレンズでも採用しているものがあります。
もしかしたら、気付かないうちに使っていることもあるかもしれません。
M42マウントの本家テッサーは大変古いレンズであるため、なかなか綺麗なものはないかもしれませんが、一度は使ってみたいレンズの一つだと思います。

*1 厳密な定義はありませんが、フィルム時代の古いレンズやマニュアル操作のレンズを指すことが多いです。これまでの記事は、ブログ内で「オールドレンズ」でタグ検索すると参照できますので、興味があれば参考にしてみてください。 記事に戻る

*2 ブログ内で「タクマー」でタグ検索すると、これまでの記事を参照できますので、興味があれば参考にしてみてください。 記事に戻る

*3 写真用レンズの構成を表すとき、使用しているレンズの枚数をこのように書きます。 収差を補正するための貼り合わせレンズを「群」として数えます。 記事に戻る

*4 開放F値とは、レンズの絞りを最大に開けた状態、一番光を取り込める状態のF値です。 記事に戻る
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