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カメラもスキーに連れてって (ホワイトバランス編) [RAW現像してみよう]

こんにちは、スタッフRです。
今回は、先週の「雪景色」の写真について、RAW現像するときの注意点をお話ししたいと思います。
以下、非常に地味な写真ですが、雪の写真をRAW現像する上でわかりやすいと思いましたので、興味があれば読み進めていただきたいと思います。
先週の記事では、今回説明に使った写真以外の作例も載せていますので、作例だけ見たい方はこちらへどうぞ。

RAW現像には「SILKYPIX Developer Studio Pro 6」を使用しました。
スキー場にて「PENTAX MX-1」というコンパクトデジカメを使い、RAW形式で撮影した写真です。

さて、まずは私がベストと思った設定にしたものが、こちら。
150327-00-snow.jpg
前回掲載の一番初め、最終的な設定でRAW現像した写真です。

この写真は、露出*1 を調整する前はこんな感じでした。
150327-01-snow-evorg.jpg
夕方に撮影した写真とはいえ、見た時の印象より、とても暗く写っています。
比較すると、こんな感じです。
RAW現像前 RAW現像後
150327-01-snow-evorg.jpg 150327-00-snow.jpg

左が変更前の写真で、右が変更後の写真です。

この写真にするために、まず露出補正*2 を+1.5にして、雪の白さがはっきりするようにしました。
雪を全面に写した写真では、カメラの自動露出*3 の場合、「白」=「明るい」と認識します。
また、よく「雪焼け」などをすることからもわかるように、雪は光を反射するため、見た目以上に明るいです。
その結果、露出アンダー*4 となり、白い雪が暗くグレーに写ってしまいます。
また、晴天下で影があるような場合、雪景色自体は白飛びしてしまうようなこともあります。
RAW現像前提の場合はRAW現像時にある程度の調整が可能ですので、カメラ任せでもほとんどのシーンで問題ありません。
今回はカメラの自動露出(絞り優先オート*5 )で撮影し、RAW現像時にSILKYPIXの露出補正を使用しました。

次に、ホワイトバランス*6 についてです。
雪は白いため、ホワイトバランスを変えるだけで色味が大きく変わり、全体の印象がガラッと変わります。
(以下、お使いのパソコンのモニタによっては意図した色とは異なった色で表示されるかもしれません)
今回は色温度*7 を5000Kにして、うっすらと青みが残る程度にしました。

ここで、他の色温度でどうなるかを見てみましょう。
撮影時設定は、カメラのオートホワイトバランス*8 で、4667Kでした。
今回は、曇り空の下で撮影したものです。
晴天下や電球下など、他の光源で撮影した場合は、また違った結果になります。
150327-02-snow-wborg.jpg
撮影時設定(4667K)では少し青みがかかっていて、雪の寒い印象が出ています。
(もちろん、お使いのカメラによって、オートでの撮影結果は微妙に異なります)
もちろん、これでもいいのですが、個人的には「少し青いので、もう少しナチュラルにしたい」と感じました。
少し色温度を上げて5000Kにしたのは、青みを消すためです。
最終的な設定と比較すると、こんな感じです。
ホワイトバランス変更前 RAW現像後
150327-02-snow-wborg.jpg 150327-00-snow.jpg

左が変更前の写真で、右が変更後の写真です。
ほんのわずかですが、印象の違いが分かるかと思います。

これに対して、色温度をもっと変えるとこうなります。
まずは、3000K。SILKYPIXのホワイトバランス「白熱球」とほぼ同一のパラメータです。
150327-03-snow-cool1.jpg
3000Kにすると、青みが非常に強くなりました。
ぱっと見で寒そうで、今にも遭難しそうな雰囲気です(笑
ちょっとわざとらしいですが、雪の冷たさをいっそう強調するなら、これくらいでもいいかもしれません。
スキー場に合うかどうかは別のお話、もっと吹雪いているような情景や、一面の雪原のほうが合いそうです。
150327-04-snow-cool2.jpg
続いて、4000K。
3000Kよりは弱いですが、「寒々しい雪」のイメージです。
雪としては、色々なシーンに合いそうですね。
実は前回、色温度をここまで下げて寒さを強調するかどうか迷いました。
雪だけの写真が多ければ、この設定でもよかったのですが、「スキー場」の写真であることと、夜景の写真を目立たせたかったため、普通な写真を選びました。
150327-05-snow-natural.jpg
5000Kは上で出ているので、次に6000K、SILKYPIXのホワイトバランス「曇天」とほぼ同一のパラメータです。
撮影時の条件が曇りのため、雪の「白さ」が一番ナチュラルに写っていますが、ちょっとつまらないかもしれません。
もっとも、人物を中心に写している場合、これくらいがベストかも。
150327-06-snow-warm.jpg
最後に、7000Kの結果です。
かなり黄色味の強い写真になりました。
雪のイメージとは少し違うので、あまり一般的ではないかもしれません
雪の積もった街並みや家屋など、温かみやノスタルジックさを出すにはいい感じです。

色温度ごとに比較をすると、こんな感じになります。
3000K 4000K
150327-03-snow-cool1.jpg 150327-04-snow-cool2.jpg
5000K 6000K
150327-00-snow.jpg 150327-05-snow-natural.jpg
7000K  
150327-06-snow-warm.jpg  

みなさんは、どの雪景色がお好みでしょうか。

雪の撮影では、思い通りの色をその場で出すのはなかなか困難です。
ホワイトバランスの設定で色味や雰囲気が大きく変わりますし、露出の確認は撮影時のモニタだけでは不十分。
こんな撮影シーンでも、撮影結果を後から追い込むことができるのが、RAW現像の強みです。

現像設定に、決まった答えはありません。
撮影した時に感じた思いや、記憶の中の風景をRAW現像で再現してみましょう。
みなさんのお好みの「雪景色」を作ってみてはいかがでしょうか。


*1 露出とは、記録される写真の明るさのことです。 露出はレンズの絞りやシャッタースピード、そしてセンサの感度により決まります。 記事に戻る

*2 露出補正とは、カメラの決めた露出を手動で補正する機能のことです。 記事に戻る

*3 自動露出とは、露出をカメラが自動で行う機能のことです。 記事に戻る

*4 適正露出よりも暗い写真を露出アンダーと言います。 逆に、適正露出よりも明るい写真を露出オーバーと言います。 記事に戻る

*5 絞り優先オートとは、絞り値を撮影者が指定する自動露出のモードです。 指定した絞り値に合わせ、カメラがシャッタースピードを決定します。 記事に戻る

*6 ホワイトバランスを調整すると、色味を変えることができます。 光源は様々な色の光を含んでいて、白熱灯は赤みが強く、蛍光灯は青みが強い光です。 ホワイトバランスを調整することで、光源の影響を打ち消したり、強調したりすることができます。 「自然な色」の再現のほか、作品としての「色作り」にも使用されます。 記事に戻る

*7 色温度とは、光源の色を温度で表したもので、単位はK(ケルビン)を用います。 物体を熱すると、温度によって様々な波長の光を放射します。 (例えば、金属を熱すると赤くなりますね。更に熱すると、白くなります。) 色温度は、理想的な黒体(全ての光を吸収し、反射のない物体)を熱した際に放射する光の色として定義されます。 写真では、太陽光が5500Kとして想定されています。 タングステン電球は色温度の低い3200Kくらいの光。 一方、昼光色蛍光灯は太陽光よりも青みの強い6500Kくらいの光です。 記事に戻る

*8 オートホワイトバランスとは、カメラが撮影時の光源の状態を判定してホワイトバランスを調整する機能です。 光源の色をしっかりと補正するものや、雰囲気を重視して色味を残すものなど、カメラごと、メーカーごとに違いがあります。 記事に戻る

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