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ニコンのレンジファインダー機「Nikon SP」にモノクロフィルムを入れて川越に行ってきた [スタッフRの「撮影に行こう」]

こんにちは、スタッフRです。
今回も、前回に引き続き「Nikon SP」の記事です。
前回予告したとおり、今回の記事ではモノクロフィルム*1を使ってみました!
(上司へ:また貸していただきありがとうございます!)


目次
  1. 前回のおさらい
  2. モノクロフィルムでの撮影について
  3. モノクロフィルムの取り込み・デジタル化について
  4. 作例(使用フィルム:Fujifilm NEOPAN 100 ACROS)
  5. まとめ


1. 前回のおさらい


前回の記事「ニコンのレンジファインダー機「Nikon SP」片手に東京さんぽ」では、タイトルの通り「Nikon SP」というカメラでスナップ*2撮影をしてきました。
古いマニュアルカメラ*3には、被写体に合わせて「絞り*4」と「シャッタースピード*5」の指針を決めてくれる「露出計*6」というものが付いていません。
そこで、基準となる「絞り」と「シャッタースピード」の組み合わせをあらかじめ覚え、その場で感覚によって調整します。
この「体感露出」と呼ばれる方法を使うことで、ある程度気軽に撮影することができるようになります。
詳しくは前回の記事をご覧ください。

前回はフィルムに「Fujifilm 業務用 100」という感度*7100のカラーネガフィルム*8を使用しました。
今回は「Fujifilm NEOPAN 100 ACROS」という感度100のモノクロネガフィルムを使用して、追加の作例を撮ってきました。
モノクロフィルムを取り込んでデジタル化する方法について、詳しくは次回以降に説明したいと思います。


2. モノクロフィルムでの撮影について


作例の前に、まずはモノクロフィルムでの撮影についてお話しておこうと思います。
みなさんが一番馴染みがあるフィルムは、おそらく「カラーネガフィルム」だと思います。
本格的なカメラを使ったことが無くても、多くの方が「写ルンです」のような「レンズ付きフィルム(使い捨てカメラ)」等で少なくとも一度は手にしたことがあるはずです。

151204-01-film.jpg

カラーネガフィルムは、フィルムベース*9がオレンジや茶色に着色されており、その上に明暗・色が反転されたネガ画像が形成されます。

一方モノクロネガフィルムでは、白黒のネガ画像が形成されます。
モノクロフィルムにもリバーサル(ポジ)フィルム*10がありますが、ネガフィルムの方が一般的です。
以下では「モノクロフィルム」=「モノクロネガフィルム」として説明します。

160530-01-mono.jpg

普段私たちは眼でカラーな映像を見ているので、色の無い世界を想像するのは初めてだととっつきにくいかもしれません。
被写体自身の「形状」や写真全体の「構図」、あるいは陰影等の「階調*11表現」を意識して撮影してみるのがいいと思います。
色が無い分シンプルで、それでいて奥が深いのがモノクロフィルムでの撮影です。
モノクロフィルムでの撮影では「人間がカラーで見た時の明るさの感じ方」と「白黒での濃淡表現による明るさ」とが異なるため、最終的な画像に違和感を覚えることがあります。
見た時のイメージに近付けたり、あるいは強調したりするため、色のついたモノクロ用フィルター*12を取り付けることで最終的な画像を変化させることがあります。
この辺りのフィルターの使い分けについても考えていたのですが、ややこしくなりそうなので今回は使用していません。
機会があれば、また後日にご紹介したいと思います。

余談ですが「モノクロ(モノクローム)」という言葉は「単色」を表し、「白黒」という意味を持ちません。
そのため、英語圏では「白黒フィルム」あるいは「黒白フィルム」と呼ばれています。


3. モノクロフィルムの取り込み・デジタル化について


ネガフィルムのデジタル化についてはこちらの記事「ネガフィルムをデジタル化してみませんか?」をご覧ください。
リンク先はSILKYPIXを使用したカラーネガフィルムの取り込みとRAW現像の例ですが、トーンカーブ*13の調整可能な画像編集ソフトであれば同様の処理が可能です。
モノクロフィルムの取り込みでもほとんど同じですが、一部の処理が異なります。
この辺りのお話については、長くなってしまったので次回以降に説明したいと思います。


4. 作例(使用フィルム:Fujifilm NEOPAN 100 ACROS)


では、今回の作例です。
フィルムには前述のとおり「Fujifilm NEOPAN 100 ACROS」を使用し、川越のスナップ写真を撮ってきました。
全てフィルターなしでの撮影結果を掲載しています。
また、デジタル化した写真のRAW現像は「SILKYPIX Developer Studio Pro 7」にて行っています。
画像中に取り込み時のゴミが見られますが、ご了承ください。
また、極端なピンボケ*14がなければ、そのまま掲載しています。

160530-11-kumano.jpg

私の撮影コースではすっかりお馴染みの熊野神社。
木目まではっきりと写し取ってくれました。

160530-12-post.jpg

ポートレート*15気分で丸ポスト。
明暗差のない被写体ですが、トーンカーブを調整したところしっかりと階調が出てきました。

160530-13-kameya.jpg

亀屋の看板を。
ささくれ立った木目の質感といい、見事な解像感*16です。

160530-14-fuku.jpg

以前も撮影したフクロウさんを一枚。
元々白黒の被写体なら、現像結果もわかりやすいです。

160530-15-jinriki.jpg

置いてあった人力車を。
ハイコントラスト*17気味に調整しています。

160530-16-kameya.jpg

こちらも再び、亀屋の看板。
蔵造りの街並みの中、情緒のある佇まいです。

160530-17-daikon.jpg

漬物屋さんにて。
妙に愛嬌のある大根ですね。


5. まとめ


さて、今回はレンジファインダーカメラ「Nikon SP」で撮影したモノクロ写真をご紹介しました。
モノクロフィルムを入れての撮影は、カラーネガフィルムと比べて難しいと考える方が多いかもしれません。
「白黒」の単純な世界に全てを込めるため、しっかりと撮ろうとすると考えることが多いのは確かです。
フィルム代も現像料金も掛かるので、失敗がもったいないと考えてしまうかもしれませんね。
ですが、フィルムカメラを使うのならぜひ気軽に試してみてほしいと思います。
白と黒との濃淡だけで表される世界は、とてもシンプルに撮影者の想いを伝えることができるはずです。



*1 モノクロフィルムとは、白黒写真の写真フィルムのことをいいます。カラーフィルムと異なり銀粒子が写真を形成するため、独特の粒子感があります。
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*2 スナップとは、日常の風景、人物の飾らない様子や素振りなど、気になったものや瞬間を素早く撮ることをいいます。
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*3 マニュアルカメラとは、電気的なオート機能を持たないカメラのことです。内蔵露出計を持たず、撮影者が絞り値、シャッター速度を選択し、またピント合わせも手動で行います。
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*4 絞りとは、レンズから入る光の量を調整する機構のことです。
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*5 シャッタースピードとは、シャッターが開いてから閉じるまでの時間(露光時間)のことをいいます。
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*6 露出計とは、光の強度を測定し、標準露出となる露出値を割り出す装置のことです。
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*7 感度(ISO感度)とは、どの程度弱い光まで記録できるかを表します。感度を高くすると、同じ明るさでも速いシャッタースピードで撮影することができますが、その分ノイズが多くなります。
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*8 ネガフィルムとは写真フィルムの一つであり、明暗や色が反転した状態で記録されるフィルムのことです。写真フィルムとしては最も身近で、印画紙へのプリント時に補正がしやすいという特徴があります。
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*9 フィルムベースとは、写真用フィルムのベースとなる材料のことです。
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*10 リバーサルフィルムとは写真フィルムの一つであり、スライド映写などで直接鑑賞できるポジの状態で記録されます。ポジフィルムやスライドフィルムとも呼ばれ、ネガフィルムに比べ彩度に優れています。
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*11 階調とは、濃淡の段階数のことです。
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*12 フィルターとは、レンズに取り付けることで様々な効果を得ることのできるアクセサリーです。レンズ前面に取り付けるもののほか、レンズに内蔵されているもの等があります。
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*13 トーンカーブとは、画像の諧調を補正するツールのことです。グラフの横軸が補正前の画像のデータ、縦軸が補正後の画像のデータとなっており、明るさの補正やコントラストの調整などを細かく行うことができます。
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*14 ピンボケとは、ピントが被写体に合っていないことをいいます。
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*15 ポートレートとは、人物を主題とした写真のことをいいます。
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*16 解像とは、レンズを通した像がしっかりと結像していることをいいますが、写真を見たときに解像しているように見える度合いを解像感といいます。
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*17 コントラストとは、最も暗い部分と最も明るい部分の輝度の差のことです。コントラストが高いとはっきりとした印象になります。
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