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お手軽マクロ、してみませんか? (オールドレンズでリバース編) [スタッフRの「撮影に行こう」]

こんにちは、スタッフRです。
今回は、当ブログでも割と多い「マクロ撮影」のお話です。
これまで、私の記事を含め、以下のようなマクロ撮影に関する記事を掲載しました。
写真を撮りに行こう。「三陽メディアフラワーミュージアム」
(Sony α7R + Sony LA-EA4 + SIGMA MACRO 50mm F2.8 EX DG)
夢の島熱帯植物館に行ってきた
(PENTAX K-5IIs + smc PENTAX-DA 35mm F2.8 Macro Limited)
近場でマクロレンズを試し撮り
(PENTAX K-3 + smc PENTAX-M 50mm F4 Macro)

これらの記事では、撮影倍率*1 が1倍を超える「マクロレンズ」というレンズを使い、被写体を大きく写した作例を掲載しています。
マクロ撮影では、身近なものを被写体として選んでもインパクトが大きく、被写体探しがしやすいという特徴があります。
まずは「マクロレンズ」を検討する方が多いと思いますが、結構高価なものが多いです。
もちろん「これからもマクロ撮影はする」「マクロ撮影大好き!」「マクロ撮影がなくなったら生きていけない!」といった方なら、ぜひ購入に踏み切っていただいて構いません。
ですが、「ちょっとマクロ撮影を試してみたい」といった方には、なかなか敷居は高いのではないかと思います。

そこで、今回は安くお手軽にマクロ撮影を楽しむ方法として、「リバースアダプター」を使った撮影方法のご紹介です。

150828-11-reverse.jpg

「リバースアダプター」とは、文字通りレンズを反対向きに取り付けるためのアダプター。
片面はフィルターねじ(おねじ)、反対の面はカメラに取り付けるマウント金具になっています。
レンズ前面には、フィルターを取り付けるためのねじが切ってありますが、この部分に取り付けます。

150828-12-rikenon50-rev.jpg

あとは、レンズを逆さまにカメラに取り付けるだけ。

150828-13-rikenon50-rev.jpg

これだけで、立派なマクロレンズのできあがりです。
レンズを逆さまに取り付けるだけで、等倍以上のマクロ撮影を行うことができます。
ご存じでない方は、ぜひお手持ちのレンズを逆さまにして、ファインダーを覗いてみてください。

この「リバースアダプター」、単なる金属の輪っかです。
(フィルター径に変換する「マウントアダプター」と捉えることもできます)
なので、マクロレンズを買うよりも安く、手軽にマクロ撮影を楽しむことができます。
以下のほか、様々な互換品が入手可能です。

さて、リバースアダプターを使った撮影では、いくつか気を付けることがあります。
・マニュアルでの露出調整
リバースアダプターはカメラとレンズとの電気的なやり取りが行えないため、露出(絞り・シャッタースピード)を自分で決めて撮影します。 一部のカメラでは露出計を使った絞り優先での自動露出が使用可能です。
・マニュアルフォーカスでのピント合わせ
ピント合わせも、マニュアルフォーカスで調整します。 レンズによっては、フォーカスリングでのピント合わせができません。 この場合は、撮影距離を自分で調整する必要があります。 (全群を移動させてピント合わせを行うレンズの場合、外枠のみが移動するのでフォーカスリングは機能しません)
・アダプターリングを使ったフィルターへの取り付け
リバースアダプターのねじ径と、取り付けたいレンズのフィルター径が異なる場合は、対応するアダプターリングが必要です。 レンズのフィルター径が大きい場合は「ステップダウンリング」を、反対に小さい場合は「ステップアップリング」を用意します。 これらアダプターリングは、フィルターメーカーより1000円程度で販売されています。
・標準レンズか広角レンズを
この方法でマクロ撮影をするためには、標準レンズか広角レンズに限定されます。 具体的には「レトロフォーカスタイプ」という、レンズの主点がレンズ後方にあるレンズです。 写真用レンズといっても、要は光をセンサに集光させる凸レンズ。 逆に付けることで、センサから主点までの距離が遠ざかるので、レンズを繰り出した時と同じ効果が得られ、撮影倍率が上がるという仕組みです。 ですので、逆付けでのマクロ撮影では広角レンズの方が撮影倍率が大きくなります。
・絞りを変更できないレンズは不向き
絞りを電気的に制御するレンズでは、絞りの変更ができません。 特に、電源オフ時に最小絞りとなるレンズは不向きと言えます。 なるべく、手動で絞りの操作が可能なレンズを使いましょう。
・ぶつけないよう注意!
等倍以上のマクロ撮影となるため、レンズと被写体との距離が非常に近くなります。 特に、レンズの後玉を被写体に向けるため、保護フィルターを付けることができません。 大事なレンズをぶつけてしまわないように気を付けましょう。 ニコンのレンズであれば、Nikon BR-3リングという、逆付け時専用のフィルター取り付けアダプターが販売されています。

以上のように、結構気を付ける点は多いですが、これらを差し引いても安価に等倍以上の撮影ができる点は魅力的と言えます。
フィルターをねじ込むことのできるレンズであれば、ほとんどの標準~広角レンズで試すことができるため、カメラマウントを気にしなくていいのもポイントの一つ。
特に中古の標準レンズは安く入手できますので、この方法にはオススメです。
(そこからレンズ沼にハマる可能性もありますが…)

既に上で写真を載せていますが、今回はカメラ「PENTAX K-3II」に、オールドレンズ「Ricoh XR RIKENON 50mm F1.7」を持ち出して、この方法を試してみました。

150828-14-rikenon50.jpg

リケノンレンズは、リコーのKマウント一眼レフカメラ「Ricoh XR-1」を始めとする「XRシリーズ」向けに販売されていたレンズです。
Kマウントなので、もちろんそのまま「PENTAX K-3II」に取り付けて使うこともできます。

150828-15-rikenon50.jpg

まず、普通にツワブキを撮った写真はこちら。
以下、現像には「SILKYPIX Developer Studio Pro6」を使用しています。

150828-01-tuwabuki.jpg

中古で数千円から購入可能な安価なレンズですが、シャープな写りで人気のレンズです。
ボケの形が六角形なことからわかるように、絞りは6枚です。
PENTAX K-3II」はペンタックスブランドですが、今はリコーイメージング株式会社。
そういったことを考えると、面白い組み合わせに見えてきます。

150828-02-enokoro.jpg

夏と言えば、ネコジャラシことエノコログサ。
名前は、「犬っころ草」が由来だそうで、確かにフサフサの犬のしっぽのようです。
まずはレンズを普通に取り付け、最短撮影距離で撮影しました。
今回は全ての写真で絞りをF2.8に設定しています。
撮るまで気が付きませんでしたが、蜘蛛の巣がかかっていますね。
これだけでも結構寄ることができていますが、リバースアダプターで逆付けするとこんな写真になります。

150828-03-enokoro-macro.jpg

パッと見「何?」となりそうなマクロ写真です。
被写界深度*2 がかなり浅く、エノコログサの先端、掛かった蜘蛛の糸にしかピントが合っていません。
よく見ると、エノコログサの種子の縞模様がわかりますね。
撮影時、風が結構吹いていたので連写してなんとか撮ることができました。

150828-04-tree.jpg

つぎはこちらの、樹木の幹。
まずは通常時の最短撮影距離*3 での一枚です。

150828-05-tree-macro.jpg

リバースアダプター使用では、こんな感じ。
元々の幹の細かな模様に流れ気味なボケが加わって、少々うるさく感じるでしょうか。

150828-06-flower.jpg

最後に、こちらの花の写真。
教科書通り、「しべ」にピントを合わせています。

150828-07-flower-macro.jpg

リバースアダプターを使用すると、こんな感じ。
ブレに注意して撮影することで、花粉まではっきりと写すことができると思います。

今回は、リバースアダプターを使ったマクロ撮影の紹介でした。
レンズを逆さまに取り付けるだけで、簡単にマクロ撮影を行うことができます。
マクロレンズの購入を検討されている方は、ぜひこういった撮影方法も試してみてください。
マクロレンズを既に使用している方も、広角レンズを使った等倍以上の撮影にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

*1 撮影倍率とは、レンズによってカメラのセンサ上に結像した被写体の大きさと、実際の被写体の大きさとの比率のことです。 記事に戻る

*2 被写界深度とは、ピントの合っているように見える範囲のことを言います。 記事に戻る

*3 最短撮影距離とは、レンズがピントを合わせることのできる最短の距離のことで、レンズ交換が可能なカメラでは通常センサから被写体までの距離となります。 記事に戻る
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