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カメラもスキーに連れてって (作例・機材紹介編) [スタッフRの「撮影に行こう」]

こんにちは、スタッフRです。
今回は「スキー」「雪景色」、そして「ゲレンデの夜景」の撮影についてです。
タイトルに「作例・機材紹介編」と付いているように、今回は作例と機材の紹介のみ。
現像時にどのように調整したかは、次回の記事で説明したいと思います。

スキー場での撮影というと、コンパクトデジカメでの撮影がほとんどだと思います。
記念写真だけならスマホで済ませる方も多いでしょうし、最近はGoProのようなアクションカメラ*1 を使う方もいるかもしれません。
ということも踏まえ、今回は「PENTAX MX-1」というコンパクトデジカメを使いました。
150320-00-mx-1.jpg
一眼カメラに比べて小さい1/1.7型のセンサを使用していますが、広角側でF1.8、望遠側でF2.5と明るい開放F値*2 のズームレンズを持つカメラです。
フィルムカメラの「PENTAX MX」に似たデザイン・サイズが特徴的で、コンパクトデジカメとしては少し大きめ。
ただし、RICOH GR等のいわゆる「高級コンパクトデジカメ」としては一般的なサイズです。
個人的にはこれくらいのサイズが持ちやすいですが、残念ながらPENTAX MX-1は既に生産終了してしまったようですね。
RAW形式での保存が可能で、普段の持ち歩きやスナップ、一眼カメラの補助用途としても活躍できるカメラです。
現像には「SILKYPIX Developer Studio Pro 6」を使用、撮影場所は北志賀の竜王スキーパークです。

まずは、ゲレンデでリフトに乗りながら、雪を多めに一枚。
150320-01-ski.jpg
できればスキーの轍の陰影をはっきりと浮き上がらせたかったのですが、直接光が当たっていなかったため地味になりました。
雪の撮影では、注意するべきことがいくつかあります。
光の当たり方もそうですが、特に気を付けるのは、色味を決めるホワイトバランス*3 と明るさ・露出*4 についてです。
ただし、カメラの設定をゲレンデで変更するのは結構大変な作業かもしれません。
スキー場ではたくさんの人が滑っているため、周りの人の動きに十分気を付ける必要があります。
スキー用のグローブを付けている場合、カメラの細かい操作が難しくなります。
また、雪の明るさの下で撮影結果を確認しても、後から見たら印象と違う、なんていうことも。
明るい屋外での液晶モニタの確認は困難ですし、雪で照り返された日光で目を傷める「雪目」になる危険性もあります。
こんなときは、あらかじめRAW形式で保存しておくのがオススメ。
ホワイトバランスや露出などは後から変更することができるので、撮影時の手間を大幅に省くことができます。

150320-02-ski.jpg
上に着く前に、リフトから振り返って遠景を撮影。
曇りとはいえ、視程(見通すことのできる距離)はそこそこありました。
ただ、ちょっと微妙な天気なので、日中の撮影はここまで。

続いて、ナイターでの撮影です。
150320-03-ski.jpg
照明の当たったリフトを、長秒時撮影してみました。
滑っているスキーヤーでも入れば、もっと締まった写真になったと思います。
(この場合は、更にストロボも使って後幕シンクロ*5 でもしたかったですね)
絞り*6 はF5.6まで絞り、更にリフトを流して軌跡だけにしようとしましたが、ゲレンデの照明はかなり明るいです。
感度をISO100にしても、シャッタースピードは1.3秒、動いているリフトが結構はっきりと写り、軌跡にはなりません。
そこで、MX-1に内蔵されている「NDフィルター*7 」(約3段分)を使用し、シャッタースピード10秒で撮影しました。
150320-04-ski.jpg
上の写真とは別角度で構図を変えて、長秒時でリフトの軌跡と光条*8 を撮影。
ゲレンデの広さに、リフトのロープと軌跡を入れることで奥行きを表現してみました。
雪の上での長秒時撮影についてですが、今回は実はこんな三脚を使用しています。
150320-00-teenypod.jpg
VelbonのTeeny Podというフレキシブル三脚です。
日本では未発売ですが、去年のCP+2014にてVelbonブースで配布していました。
非常に小さく、あまり大きなデジカメを固定するには不向きです。
(写真中のレンズキャップは大きさの比較用に置いた40.5mm径のキャップです)
そこで、この三脚を雪に差し込み、固定しました。
もちろん、撮影中に倒れないように気を付ける必要があります。
ここまで小さな三脚を選ぶ必要はありませんが、ミニ三脚を「雪に差し込む」というのは非常に強力な固定方法です。
リモコン等を併用することで、山頂での記念撮影などにも応用できます。
もちろん、ゲレンデの利用者の迷惑にならないように気を付けましょう。
「雪にカメラを直接埋める」という固定も可能ですが、カメラ・レンズに傷が付いたり、内部が濡れて故障したりするおそれがあります。
150320-05-ski.jpg
ゲレンデの照明に色々なものがあるため、RAW現像で後から色味を調整できるのは大きなメリットです。
ナイターでは、滑る人の影が様々な色になるように、白と黄色のほか、青と緑の照明も使われていました。
また、絞りはF5.6まで絞っていますが、以前の記事の写真に比べて、光源の周りに発生した光条が非常に大きいことがわかると思います。
光条の大きさは、光源の強さのほか、焦点距離*9 によって変わり、焦点距離が小さいほど光条は大きくなります。
そのため、夜景やイルミネーションで絞りによる光条を発生させる場合、センサの小さいコンパクトデジカメのほうがレンズの焦点距離が小さいため、より大きな光条を作ることができます。
これに加えて、ゲレンデの照明がもともと強いものを使用しているため、このような大きな光条が発生しました。
センサの大きなカメラを使う場合、絞らずに大きな光条を作ることのできる「クロスフィルター*10 」というフィルターがあります。
クロスフィルターについてはこちらの記事で紹介していますので、参考にしてみてください。

今回は、スキー場での撮影について紹介しました。
荷物はあまり持ちたくない、でも納得できる写真を撮りたい、そんな方はぜひ「RAW形式で保存できるコンパクトデジカメ」を使ってみましょう。
RAWデータであれば、後から設定を変えての現像が簡単にできます。
ゲレンデではスキーに集中、それでいて撮影した写真も気を抜かない、そんなスタイルはいかがでしょうか。
次回は、どのように現像したのかについて、ホワイトバランスと露出に絞って説明したいと思います。
(RAW現像編はこちらの記事で解説しています)

*1 アクションカメラとは、アウトドアスポーツの撮影を目的としたビデオカメラです。 体や自転車、スキーであればストックなどに取り付けるためのアクセサリが充実しているのが特徴です。 記事に戻る

*2 開放F値とは、レンズの絞りを最大に開けた状態、一番光を取り込める状態のF値です。 記事に戻る

*3 光源には様々な色のものがあり、白熱灯は赤みが強く、蛍光灯は青みが強い光です。 人間の視覚は、その「色の違い」を補正して物を見ているため、実際にカメラで撮影した「正しい色」の写真を見ると違和感があります。 (電球を点けた瞬間は照らされた物が黄色く見えますが、しばらくすると黄色味を感じなくなります。 みなさんは、このような経験をしたことはないでしょうか。 この、「しばらくすると光源(電球)の色を感じなくなる」という現象を「色順応」といいます。) ホワイトバランスとは、この光源の影響を調整する機能のことで、色味を変更することができます。 「自然な色」の再現のほか、作品としての「色作り」にも使用されます。 記事に戻る

*4 露出とは、記録される写真の明るさのことです。 露出はレンズの絞りやシャッタースピード、そしてセンサの感度により決まります。 記事に戻る

*5 シャッターが開いたときにストロボを発光させる「先幕シンクロ」と、シャッターが閉じる前にストロボを発光させる「後幕シンクロ」があります。 ストロボの発光タイミングによって、得られる軌跡が変わります。 記事に戻る

*6 レンズを通過する光の量(明るさ)を調整する機構のことを、「絞り」と言います。 絞りの大きさを示すものに「F値」があり、F値が小さいと通過する光の量が多く、F値が大きいと通過する光の量は少なくなります。 記事に戻る

*7 NDフィルターとは、レンズに入る光を制限するフィルターです。絞りを開けたまま遅いシャッタースピードで撮影したい場合などに使用します。 記事に戻る

*8 光条(光芒)とは、光源に生じる光の筋のことです。 絞りを使った光条についてはこちらの記事を、フィルターを使った光条についてはこちらの記事を参照してください。 記事に戻る

*9 焦点距離とは、レンズの中心点(主点)から焦点までの距離のことです。焦点距離が短いと画角が広く、長いと画角が狭くなります。 記事に戻る

*10 クロスフィルターとは、フィルター表面の溝により光条を作り出すフィルターです。 詳しくはこちらの記事を参照してください。 記事に戻る
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