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PLフィルターを使って展望台からガラス越しに撮影しよう [スタッフRの「撮影に行こう」]

こんにちは、スタッフRです。
みなさん、カメラのレンズに「フィルター」を付けたことはあるでしょうか。
フィルターとは、レンズに取り付けて様々な効果を出すことのできるアクセサリーです。
レンズの前に取り付けるものや、レンズの中に内蔵されているものなど、色々なものがあります。
フィルムの時代には色温度の変換(光源の色の補正)や紫外線のカット等、様々なフィルターが使われていました。
デジタルカメラではホワイトバランスを変更でき、またレンズのコーティング技術が発達したため、こういったフィルターを付ける必要性は薄れています。
最近では、不意にレンズに触れてしまったり、レンズを落としてしまったときの衝撃を和らげたりする保護目的で、光学的には特別な機能を持たない「プロテクトフィルター *1 」をレンズ購入時に付ける方が多いのではないでしょうか。
このほか、点光源に光条(光の筋)を発生させるクロスフィルターや、手軽にマクロ撮影を可能にするクローズアップレンズ等があります。

さて、撮影中にガラスの映り込みが気になることって、ありませんか?
あるいは、撮っている最中は気にならなくても、後から写真を見たら「知らない人の顔がガラスに…」なんていうことがあると、ちょっとびっくりしますよね。
ビルやタワーの展望台等、ガラス越しにしか撮影できない場所もあります。
特に冬場は太陽も低いため、ガラス越しの撮影では映り込みがとても多いです。

こんな時には、「PLフィルター」という、ガラスや水面等の反射や、青空や葉のコントラストを調節するフィルターがあります。
150109_00_plfilter.jpg
上記はKenko PRO1D WIDE BAND C-PL(W)です。
(執筆時に手近にあったものを撮影。今回の撮影で用いたものではありませんが、ほぼ同じ仕様のものです。)
フィルターは、このように金属製の枠に光学ガラスがはめ込まれたものが一般的に使われます。
レンズの前面には、フィルター取り付け用のねじが切られており、ねじ込んで取り付けます。

150109_01_plfilter.jpg
何もつけていない状態は、こんな感じですが、

150109_02_plfilter.jpg
フィルターを取り付けると、このようになります。
反射した光というのは偏光(polarization)しており、PLフィルターでは偏光板により特定の光のみを透過させます。
PLフィルターは枠が2重で、前側の枠が回転可能な構造になっています。
枠を回転させることで偏光板の向きを変え、反射光を弱めることができます。
また、空気中の水蒸気やチリによる散乱光をカットすることで、青空のコントラストを高めることができます。
偏光タイプのサングラスと同じ原理ですね。
余談ですが、日本の空よりもヨーロッパの空が青いのは、湿度の違いによるところが大きいです。

カメラは「PENTAX K-5IIs」、レンズは高倍率ズームの「smc PENTAX-DA 18-135mm F3.5-5.6 ED AL [IF] DC WR」です。
レンズについては、以前の記事を参照してください。
現像には「SILKYPIX Developer Studio Pro 6」を使用しています。
今回は、京葉線の千葉みなと駅から少し歩いて、千葉ポートタワーへ。

150109_03_tower.jpg
菱形の断面のタワーは、高さ137m。2階から4階までが展望フロアになっています。
周囲は千葉ポートパークとして整備されているので、散歩に来る方も多いです。

150109_04_tower.jpg
さて、展望フロアから俯瞰撮影です。
自動車輸送の「とよふじ丸」がいたので、まずは1枚。
こちらは、何もフィルターを付けていない状態です。
南側に向けて撮影したため、南東からの日差しによる反射で、見事にガラスの映り込みが入ってしまいました。
全体的にコントラストが低く、ぼんやりとした写真になっています。
旅行記等の記録ではこれでもいいですが、船の写真としてはちょっと…といった感じですね。
ここで、PLフィルターを取り付けて、ファインダーでフィルターの効果を確認しながら、くるくると回してみます。
一番映り込みが少なくなった場所で、もう一度撮影したのがこちら。
150109_05_tower.jpg
映り込みがなくなり、クリアに被写体を写すことができました。
先ほどと比べ、「左側の不自然な映り込み」がなくなり、「全体的にコントラストが高く」なっているのがわかると思います。
2枚の写真が若干異なる画角だったため、トリミングしていますが、それ以外は同じ設定での現像です。
(普段は三脚使用可なポートタワーですが、この日はイベント日で使用不可だったもので…)
ここから先は、PLフィルターを取り付けての撮影です。

150109_06_tower.jpg
タワーから、下を覗くと。
目の前の日本サイロでは、バルクキャリアの「MEDI YOKOHAMA」が搬入のため接岸していました。
言われない限り、「窓越しに写した」写真とはわからないかと思います。

150109_07_tower.jpg
こちらは、公式マスコットの「ぽーとくん」。
まるでケースの手前がガラ空きのようですが、しっかり周囲4面とも覆われています。
全面をガラスやアクリルで覆われた被写体を撮るときも、PLフィルターにより反射光をカットし、中の被写体をクリアに写すことができます。
もちろん、すべての面の反射光をカットできるわけではありません。
今回は「反射光をカット」する方向で使用していますが、もちろん逆に反射光を目立たせたい時もあると思います。
水面に反射した逆さ富士や、あるいは青空に虹がかかった場合などでしょうか。
撮影の意図に応じて、適切なセッティングで使用する必要があります。
撮影前には、フィルターをくるくると回し、実際の効果が意図するものかどうか確認しましょう。

こんな感じで便利なPLフィルターですが、使う上でいくつか注意点があります。
■ 反射面に注意
PLフィルターは、反射面に対して垂直な光をカットすることはできません。
青空のコントラストを高める場合、逆光では効果を発揮することはできません。
また、ガラスの反射も、正面からでは消すことができません。
こういった場合は外して撮影しましょう。
映り込みを防ぐために、暗幕(黒い布)をかぶって撮影するのも一つの手ですが、展望台によっては禁止されている場合もあります。
■ 手ブレに注意
PLフィルターそのものを見るとわかりますが、偏光により透過光を限定するので、当たり前ですがかなり暗いです。
暗くなる分シャッタースピードが遅くなります。*2 
晴天下であればそれほど気にすることはないですが、撮影シーンによっては手ブレに注意する必要があります。
■ ケラレ*3 に注意
回して使用するという性質上、保護用等のフィルターに比べて、若干フィルター枠に厚みがあります。
このため、レンズによっては周辺がケラレてしまう可能性があるので、使う前に確認したほうがいいでしょう。
■ 広角レンズに使用する場合は効果に注意
広角・超広角レンズでは、左右の端で入射光の角度が大きく異なります。
このため、効果が均一にならず不自然になることもあります。

PLフィルターは、「風景を撮る方には必須」とよく言われます。
先に述べた注意点もそれほど難しいものではなく、反射光のカットとコントラスト強調のメリットのほうが大きいです。
特に、反射光のカットは現像やレタッチでの修正はほぼ不可能です。
レンズほど高価なものではないので、試しに安物でいいので買ってみて、くるくる回して遊んでみましょう(笑

*1 レンズ本来の光学性能に影響を及ぼさないような反射防止コーティングが施され、撥水性、フィルター枠自体の耐久性を高めたものなどがあります。 基本的には常時付けておいて問題ないのですが、光学ガラスがレンズの前に1枚加わるため、強い光源がある場合に悪影響となることもあります。記事に戻る

*2 このような、光量の低下に必要な補正量を「露出倍数」と言います。 一般的なPLフィルターでは露出倍数は2倍から3倍くらいで、その分シャッタースピードが遅くなります。記事に戻る

*3 フィルター枠や、不適切なフード等によって光が遮られ、写真の4隅が暗くなってしまうことを「ケラレ」と言います。 撮影後に気付いた場合、どうしようもないので後で中心部分だけをトリミングするしかありません。 撮影中であれば、もっと薄いフィルターで試すか、あるいは別の方法を模索しましょう。記事に戻る
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