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夜景写真のRAW現像について(露出補正) [RAW現像してみよう]

こんにちは。スタッフRです。
今回は、先週の写真を「SILKYPIX Developer Studio Pro 6」を使ってどう現像したかについて簡単に見ていこうと思います。先週の記事はこちら
RAW現像についての一般的なお話が中心なので、SILKYPIX以外のRAW現像ソフトをお使いの方でも極力読めるように記述しています。
後半に以前行った川越まつりの写真も載せましたので、写真だけ見たい方はさくっとスクロールしちゃってください。

それでは、こちらの写真。
撮ってから何も編集をしていない、いわゆる撮って出しのJPEGです。
(掲載時点でリサイズのみ行っています)

141128_01_shinjuku.jpg
とりあえず何も考えずに絞り優先オートで撮っています。

カメラのオートモードにはいくつかありますが、絞り優先オートは絞りを決めればカメラがシャッタースピードを決めてくれるモードです。
被写界深度、すなわちピントの合う範囲をイメージして撮影するのに向いたモードで、だいたいの撮影であればこのモードで問題ありません。
この写真を前回はRAWから調整して現像し、この画像にしています。
141128_02_shinjuku.jpg
撮って出しJPEGと比較すると、このようになります。
141128_03_shinjuku.jpg
左が撮って出しJPEG、右が調整して現像したものです。
今回はそれほど調整が必要ない画像だったので、縮小画でのWeb公開に限ればJPEGのレタッチと大差ないと思います。
(ただし、この後印刷や作品として仕上げるような、更に調整や追い込みが必要な場合は後述のようにデータ量の多いRAWから仕上げたほうが有利です)
RAWとは、普段見ているJPEGの画像にする前の段階、センサから吐き出されたデータをほぼそのまま格納した「生」のデータです。
RAWデータにはJPEGデータよりも多くの情報が入っているため、後から多少の編集を加えても破綻の少ない綺麗な画像を得ることができます。
元々の写真は光源が多く写っていたため、少し暗めに写っています。
全体の露出を少し持ち上げ、色味を若干調整しました。
新宿の印象的には、もう少し眩しいくらいでもいいかもしれません。
露出とは、写真の全体の明るさのことです。
自然な明るさであれば「適正露出」といい、暗ければ「露出アンダー」、明るければ「露出オーバー」といいます。
露出は「絞り」、「シャッタースピード」、「感度」で決定され、カメラのオートモードではこれらの値を適正露出にするように動作します。
夜景では夜空が多いと全体が暗いため、カメラが適正と感じた露出が本来よりもオーバー気味になります。
逆に街灯や建物の灯りが多いと全体が明るくなり、アンダー気味になります。先程の写真はこちらですね。
撮影時にある程度分かるような場合は「露出補正」を行い、オーバー気味ならマイナスに、アンダー気味ならプラスに補正します。
また、絞りやシャッタースピードをある程度決めて、マニュアルで自分の好みの露出設定にします。

ホワイトバランスもオートで撮影しましたが、色味にそれほど違和感がなかったので微調整程度で。
(ビルの壁面等が若干暖かい印象だったので、青みが増すようにホワイトバランスと色を調整しています)
加えて少し迫力を出したかったので、トリミングをしています。
ホワイトバランスとは、光の色を調整する機能のことです。
被写体の色は、太陽光や電球、蛍光灯といった光源の色によって変化します。
電球の下で白い紙を見ると黄色く見えると思いますが、これを電球の影響をなくして真っ白にするか、電球の雰囲気を残して黄色味を残すか、という調整です。
ホワイトバランスについては後ほど別担当で説明していただけると思いますので、今回は詳細は割愛します。

夜景の場合、パッと見て最初に気になるのは露出、そして次に気になるのはホワイトバランスだと思います。
撮影時にその場で結果を見て露出が思ったものと違った場合に、オートからマニュアルでの撮影に切り替えたり、露出補正を行ったりして調整します。
もちろん、ピントが外れている、手ブレor被写体ブレしている、というのもありますが、構図も含めてしっかり撮れたことが前提です。

ただし、マニュアルでの撮影に慣れていないと設定を追い込むのに時間がかかります。
また、カメラの液晶画面で見た印象と、部屋の中であらためて写真を見た印象は異なるかもしれません。

そこで、「RAW現像」の出番です。

RAWデータは先ほど説明したように多くの情報を持っているほか、ホワイトバランス設定やノイズ除去、シャープ等、カメラ側で行っていた設定を後から変更することができます。注1 
ただし、RAWデータそのままではJPEGデータのようにブラウザ等で見ることができません。
このため、RAW現像ソフトを使ってカメラから取り出したRAWデータをJPEGの画像にする必要があります。
単なるデータの変換ですが、従来のフィルムを現像する工程になぞらえ「現像」と呼んでいます。
カメラから出力されるJPEG画像は、カメラの中で現像したデータと考えることもできます。

露出に関して言うと、普段見ているJPEGは暗いところは黒くつぶれ、明るいところは白く飛んでいると思います。
RAWデータはJPEG画像に比べて、もう少し暗いところや明るいところまで記録されています。(ダイナミックレンジが広い、と言います)
また、JPEGで見たときに1色だと思った場所には、もっと詳細なディティールが記録されています。
もちろん、RAWデータにも限界はあります。あまりに過度に飛んでしまった場合は補正できません。
RAWデータを保存するには、カメラの保存形式を「RAW」や「RAW+JPEG」にする必要があります。
少しデータが多くなりますし、後で処理をする手間は増えます。
ですが、後からじっくりと調整したいような場合や、作品として仕上げたい場合には、より柔軟な調整が可能です。
他にも、例えば夜景を撮りたいけど三脚を持ってくるのを忘れてしまった場合、あるいは夜に行われるお祭りなどのイベントのように三脚を持ち込むことができない場合を考えてみます。
こんなとき、手ブレしないように少し速いシャッタースピードが必要になるので、その分感度を上げて撮ると思います。
ですが、感度を上げるとセンサから得られる信号を底上げするため、高感度ノイズと呼ばれるノイズが生じてザラザラとした画像になってしまいます。
そんな時、RAW現像を前提にあらかじめアンダー気味に撮っておき、後から露出を持ち上げることもできます。
高感度ノイズが少し抑えられますし、手ブレの確率も少なくなるのでボツ写真が減るかもしれません。

141128_04_kawagoe.jpg
こちらは、以前撮影した川越まつりのひっかわせ。
メインは夜中に行われますが、迫力のある写真を撮ろうと思うと群集の真ん中に入らないといけません。
手持ちどころか持ち上げての撮影、三脚は当然使用不可です。
ライブビューを使って撮影すると、ファインダーを覗いて撮影するのに比べてカメラのホールドが両手のみになるため手ブレしやすくなります。
この写真を撮るときに、先ほどの方法を実際に使っています。
撮影時には露出補正を-1、そして現像時に露出を+1です。
同じ感度でも1段分シャッタースピードを稼ぐことができるので、手ブレせずに撮ることができました。
こんなシーンでも、RAW現像を活用することで多少ですが撮影の幅が広がり、思い切った撮影に臨めたわけです。
(もっとも、あえて手ブレさせることでその場のスピード感を出すことも表現の一つです)

以上、RAW現像での露出補正についてのお話でした。
RAWであれば、まずは露出のズレを気にせずにオートで撮ってみて、後から調整可能です。
その場では「撮る」ことに集中し、構図を決めたり、あるいはシャッターチャンスを逃さないようにしたりと若干の余裕が生まれます。
寒い時期、こうした救済処置があると少し手軽に「撮ってみよう」という気になりませんか?

注1: SILKYPIX Developer Studio Pro 6 では、カメラ側で設定可能な機能のうち、メーカー固有の機能についても一部設定が可能です。ペンタックスのカメラでは「レンズ補正」の項目のうち「ディストーション補正」の設定を後から行うことができます。今回使用した写真ではどちらもディストーション補正を有効にしています。 記事に戻る
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